季節の便り
初夏だより

一年お休みしていた米づくりを今年再開しました。小川村で知った「投げ植え」という田植えです。はじめから、それようにもみを仕込み、成長するとちいさなポット苗のようになって土を根がからめて重しになるので投げ入れることができます。腰をかがませることがないので、とても楽なのです。一年分の米をつくるということか、田植えが終わるとなぜかホッとします。田植えから数日たって水を見に田んぼに夜行きました。雲がすこしかかって切れるような三日月。そのひかりが植えたばかりの田にひかり、かえるたちのガッショウ。その幻想的な風景にしばらくうっとりして幸せな気分でした。
今日はつれあいがひとりで田んぼの草とりをしました。草があまり大きくならないうちに除草機といって、手でコロコロ押して土をかくはんさせて草を浮かせてとります。まるで、骨董品のようなもので、村でこんなことをしているのはうちぐらいで、村の人からもめずらしがられています。
作業場が15年たって、雨漏りしたり、ついには壁も落ちてしまったので、今新しい作業場をつくっています。
神様の思し召し?2人の若者が手伝ってくれて、大助かりです。来週には、土を練って、きざんだワラもいれて、土壁つくって完成の予定です。
気持ちよい暮らし、気持ちよい仕事をするには、やらなければいけない作業がたくさんあり、くじけそうになりそうなときもある。まだまだできていないことが
あるがすこしづつ階段をあがっていけばーーーと毎日気持ちだけはのんびりしている。
(2007年6月更新)
春だより

今年は今年は冬がまるでないような年でした。雪もあまりふらなくて、もうすっかり春になってしまい、淋しいというか、心配です。
3月にはじめて、韓国に苧麻(ちょま)をさがしに出かけました。麻好きの私ですが、中国、韓国の麻はいまひとつ魅力にかけていましたが、たまたま韓国の布に詳しい女性に日本で知り合ったので、墨染めのことも知りたかったので出かけることにしました。苧麻は,今はほとんど中国で作られているものが多いそうですが、市場で麻の布だけ売っている店が何軒かあり、そこにいるだけで気持ちよくなりました。価格も高いのですが、いくつか買って染めてみることにしました。韓国のお坊さんのコスチュウムはすばらしいですね。上から下まで全部グレー、デザインも素敵で歩いている姿もきまっています。実はこのグレーの色がもともとは墨染めだったそうです。墨染めといっても、ほとんどなく昔からの古いお寺のお坊さんだけが今は染めているのだそうです。墨はつつじの木で作ったもので、それを布にこすりつけるそうですから、すぐにおちるので、一年に一回染めるそうです。 私のように書道の墨で、染めているものもあるそうです。やはり、韓国ではほとんど今は化学染めだそうです。化学染めでも、墨染めでもあのお坊さんの姿は今でも忘れられません。
そして、韓国の食べ物がおいしかったのには、びっくりしました。また行きたくなりました。
(2007年3月更新)
冬だより
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長野の私の暮している山は冬はとても雪が深く、とくに去年の雪は家に車で登るだけでも、ひと苦労でした。でも今年は雪が少なく、写真のような風景になっています。これは大根を保存用として埋めているものですが、埋める深さは土地によって違うそうです。長野では40cmぐらい掘って大根を置いてその上に土をもってワラをかぶせます。これでも昨年の低温では大根が凍ってしまって食べられなくなりました。でも今年は温かくて腐ってしまいそうです。何か地球に異変が起きている気がします。
私は冬、寒いのが好きで横浜より長野に移り住みました。思ったとおり、まるでこの世とは思えない風景を見せてくれます。早朝北アルプス雪の山々が照らされ光る日の出。夜、雪や雲の上にでる月に照らされる幻想の世界。凍るような夜のたくさんの星とふくろうの鳴き声。立ち並んで長さをきそっているようなつららたち、、、。長野の冬は寒いけれどすばらしいです。
(2007年1月更新)
秋だより

お元気でいらっしゃいますか、長野は朝と夜は寒いくらいです。
今年は、私たちが暮らしている山にも多く熊が出没して大騒ぎです。
桃リンゴ柿くり収穫前に食べられないよう電線を張ったり音で威嚇したりしています。
山にどんぐりとか食べるものがなくなって里山まで降りてきてしまった熊もかわいそうで、胸が痛みます。
近所のおじいちゃんは、熊が柿の木に登って実をたべているのをみたり、夜つれあいが外にでたら下の谷からコリコリと栗をたべる音がしたそうです。私も夜は外を歩くのがこわくなりました。もちろん熊のほうが怖がっているのです。
山には、美しい羽のキジの家族たちが山道を歩いています。
それを狙ってトンビが低空飛行したりしています胡桃の実が落ちるころはちいさいかわいいリスが実をたべにきますくるみの青い皮がついた実で染めると、とてもよい濃茶が染まるのですがこの場はリスに譲ることにしています。
先日、4人で薪をつくりました。
今年になってかまを1つ増やして合計4つ毎日焚いて染めているので、1年に16トンぐらいつかいます。
1年に3回ぐらい近所の製材屋さんからクレーン付トラックで木の端材を運んでもらい2日がかりで2人でチェンソーできって2台の軽トラックで運びます。手がとげだらけですがずいぶんなれました。
こんなに大変な重労働の薪づくりは、つれあいやスタッフの協力がなければできないことです。
昔1人でネパールを旅したころ最初に目にしたのは、薪で火をたいて炊事をしている土でつくったかまどでした、それを見て私はたまらなくなぜかなつかしさを感じたのとからだのなかが気持ちよさに、満たされました。
自然の恵みで、色を作り出せる草木染には、「薪」と当たり前に思ったのです。
私のわがままを受け入れてやってくれて本当に感謝です。
(2006年10月更新)

