季節の便り
梅雨
長野は毎日、しとしと雨が降って、朝、晩は寒いくらいです。
今は柿渋がよく染まるのですが、この雨で中断です。バッグ用の柿渋の布はほとんど、手織りのヘンプ(大麻ーインドでオーダーで作っている布です。)まず、クルミのチップなどで下染めをします。それから、柿渋で2ケ月くらいかけて、25回くらい重ねて染めては、お日様に当てて発色させます。くるみのタンニン質と柿渋の相性がいいので、とてもよい色を出してくれます。今の季節はお日様が出ると強いので、薄い布は朝と夕方だけ干します。たまに水にたっぷり浸してから、柿渋につける。色を見ながら、濃度もそのときに考えます。
手間ひまかけて染めた布をバッグにする。持ち手も桑やくるみの木の枝をひとつ、ひとつ削って、漆を塗る。そして、ボタンの模様はカミキリムシが作ってくれている。先日見たカミキリムシは水色の水玉模様の柄をしていて、とてもおしゃれな虫だった。この虫やその仲間が、6月から8月にかけて食べてくれる。ほどよい模様ができたら、削ってボタンにする。これで、バッグのできあがり、、、、、。 今年は、家の周りの木があまりに伸びすぎて、鬱蒼としてきたので木を切ってもらった。そして、竹やぶも切ってもらった。木はストーブの薪にするのに切って、竹は干し場のさおに使うのに、きれいにした。
自分の暮らしを作るように、ひとつ、ひとつ手間をかけて、作り出すバッグなどの作品はとても気持ちがいいです。
(2009年7月更新)
田植え
新緑季節もそろそろ終わり。でも、北アルプスの山々にはまだ雪が残っていて、とても美しい姿をみせてくれる。朝早く起きて、山々をながめていると、ここは天国か?と毎日思っている。先日仕事をしてくれているインド人が日本にきて、富山を訪ねた際、山の中に家々があるのに、夜暗闇の中、人がだれもいなくて「わたしは天国にきてしまったか、、、、とおもった」と目を丸くしていっていた。人それぞれ、天国のイメージが違うのだなーととても面白かった。
田植えも終わった。畑も少しづつ夏野菜を植えている。何年かぶりににわとりも飼い出した。りっぱな石積みの小屋があるのに、2回ほど「はくびしん」に食べられて、全滅したので、しばらくは飼わないほうがいいと近所のおばあちゃんからいわれていた。5年ぶりにかわいいにわとり6羽がきた。まだ卵は産んでくれないが、とても心がなごむものだ。もうそろそろ、山のふきも大きくなるので、いっぱいとって染める季節になった。
(2009年6月更新)
まぶしいくらいの新緑にウグイスが声を競い合うように鳴いています。春はとても忙しい。染めが始まり、新しい布もたくさん織ってもらって、染めることにワクワクしてくる。いっけん、なんでもない布が、洗うと縮み具合で絶妙な表情を見せてくれてうれしい。田んぼも始まっている。もみがかわいい芽をだして、6月の田植えをまつばかり。畑もじゃがいも、ねぎを植えました。耕運機で起こしたばかりで、草もなく、最初は気分よくできる。6月ぐらいになって、あっという間に草だらけになると、やる気がなくなってしまう。今年はきちんと草に向かっていきたいものです。
この村に住んで、初めて目にしたもの、藤。都会では藤は、棚を作って観るものですが、なんと山には大きな木に藤が巻きついて、紫の花を咲かせています。桜が終わった山を、美しく飾っています。
(2009年5月更新)
やっと春になりました。
さんしゅうの木の花が庭でもうつぼみをふくらませています。早いときはお彼岸、遅いときは4月中旬でした。今年はとても暖かい。藍もいつも氷の山になっているのに、初めてこの時期に全く凍っていません。いつでも染めれますよといっています。
カマドもまた、おおがかりに作り変えました。なにせ、サンプルがあるわけでもなく、いちから考えてきましたから。薪の量をいかに少なくして、熱効率をあげていくか、また大きな重い鍋をいかに扱いやすいようにつくるか、、、、?つれあいが色々考えてくれて、今度は鉄のワクをつくってもらった。隣町の鍛冶屋さんがオーダーで作ってくれた。もうすぐ、完成。福寿草の花を眺めて、安らいでいるこのごろ。
また、一年が始まる。
(2009年3月更新)