季節の便り
御柱祭
桜が咲き、山吹の花も咲いて、山が黄色、ピンク、みどりなど色々な色で、美しい季節にやっとなり、身体も思うように動き始めた。畑を耕したり、田んぼの苗の準備も始めた。それにやっと柿渋が染めれるお日様の「つよさ」になった。
きのう小川村の御柱祭があって見物しに行った。諏訪の御柱は有名、小川村も7年に1回観光でなく、村の行事として昔から行われてきた。皆、昔の衣装を身に付け、馬に乗ってゆっくり、ゆっくり歩き、切った大きな木を2本、皆で引いて、神社まで運んでゆく。特にその中で、面白いのは最後の集団が「ナガモチ」を長い木につるして、ギシギシとわざとしならせ、からだにリズムをとりながら歩いている姿だ。その音もなんともいえなく、身体に気持ちよい響きを与えてくれるのだが、歩き方など形が決まっている。日本の昔からの美意識に通じている「カタ」のすばらしさを感じた。村の知り合いばかりが演じている行列、とても今の日本に忘れている何かを感じて、久しぶりに身体がゾクゾクした。
(2010年5月更新)
今年は春になったと思ったら、大雪が降りとても変な気候だ。いつもならとっくに始まっている染めも今年は少ししかできないでいる。
野良のボタン作りがとても忙しくなっている。人気のボタンは虫もよう、竹の根。
ところが、竹の根の材料がなくなってきてしまった。今までは、住宅の造成地、道路工事現場で竹の根を掘り起こしているところを偶然見つけて、適当な長さに切って、ナタでヒゲ根を切り落とし、泥だらけになって運んだ。
どうしよう、、。掘るしかない。たまたま、きれいに竹を切った平らな竹林がみつかり、村のおじいちゃんと一緒に重機で掘り起こした。竹の根は地面のなかで、網の目のように張り巡らされている。泥つきで掘りあげてもらい、スコップで泥を落とす。竹の幹の根を掘るときは、重機が傾くほど。とても力強いので、大変な仕事だ。
「土の仕事は体の奥底が気持ちよくなるよ」と連れ合いが言う。私も畑で土をさわっていると気持ちよく、自分が白紙になる気がする。そんな感じかもしれない。
それに虫もようのボタン、これはかみきり虫の幼虫が、木を食べて成長してゆく時につける模様。人間が意図的に彫る線とはちがい、美しい。
虫が卵を産んでくれそうな場所に木をおいて、8月までまつ。確率は半分。虫の模様がついたものを、ドラム缶で火を焚いて煮て、それ以上食べるのをとめてしまう。面白い形を切り取って、ボタンに削り、漆を塗って完成。
連れ合いが材料をさがして作るのだが、本当に木が好きでないとできない。山の中に入って、ボタンの材料を探している姿はまさしく天職のような気がする。
(2010年4月更新)
今年は、雪が多く、たっぷり寒さの中、「冬」をそして雪景色を味わって、幸せな冬だった。
韓国に布を買いに行った。私の好きな「モシ」という麻布を探しに行った。前回は韓国の友人に案内してもらって、市場の麻を売っている店に連れて行ってもらった。今回は、友人には迷惑をかけるといけないと思い、記憶を頼りに行ってみた。ところが、ない。???!!!!!!
いろんな通りをたどっていくのだが、ない。確かにこの辺りにあるはずと、いけども、ない。何が、違っているか、、、。せっかく、韓国に来たのに残念。 あきらめて来年でも出直そうと思った。
ところが、次の日ソウルの街で、この友人とバッタリ出会った。
今までもこのような驚きの場面に遭遇することは何回もあった。実はあるときから、考えることをやめて、感覚、偶然(出会い)を大事にして仕事をしてきた。気持ち悪いことは、いくら利益になってもやらない、自分に都合悪いことが起きても、与えられたものを受け止め、越える努力をする。このように自分なりにやり始めたら、何人とこの「偶然」がふえてきた。すると道を歩いているように進めばよいのだとわかって、楽になった。
きのう、ふきのとうを見て、春を感じていたらまた、今日は雪!
あとすこしの冬をたっぷり味わいたい。
(2010年3月更新)
おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年は暮れまで、インドで仕事をして31日に帰ってきたので、大雪の中あわただしくお正月を過ごしました。大晦日恒例のきねとうすでもちつきを娘も一緒にしました。我が家のもちはおいしーいと自己満足でたべていました。
今年のインドでの仕事はとても有意義でした。織りの職人さんや染めの職人さんなど1時間もかかるところからバイクでとんできてもらったりして、次々に新しいサンプル布が出来上がった。今までだと、サンプルを作って、日本に送ってもらいチェックして、それから織ってもらうので、一年ぐらいかかっていたが、これだと半年で出来上がる。
村の暮らしもとても居心地がよく、まるで田舎に帰ったように私にはピッタリしている。蚊は飛んでいるし、シャワーもお風呂もないところだが、来年はもうすこし長くいて、織りを作ってみたい。チャイもカレーもすごくおいしいくて、本当に感謝です!。
そうそう、今まで使っていた布をストックしている家を私が留守中に引越ししなければいけなくなった。困っていたところ、お隣の古い民家を貸してくださることになりました。スペースも広く、なんて幸運なことかと、、、、。念願(?)の古い民家、感謝。
(2010年1月更新)